可愛らしさの欠片もない

私はそんな風に見えていたんだ。

「あ、子って言ったらもう失礼だね、りっぱな淑女に」

…。

「あ、何か、言い方が悪かったかな…セクハラ?気を悪くしないで?そんなつもりもないし、あまり気にしないで俺の言うことなんか。いや、こんな言い方こそ、パワハラになるのかな…」

…。

「あ、そうだ、ご飯の行き先、決めないとだね」

「…ごめんなさい……無神経にデリケートなことなのに…口にしてしまって。ごめんなさい」

「え?そのこと?なに言ってるの、そのことはもういいんだよ。気にしないでよ。…俺は嬉しかったよ」

「あ、でも、そんな…」

「ううん、本当だよ。こんなこと、嘘言っても仕方ない。それだけ人のことをちゃんと見抜けるなんて素晴らしいよ」

見抜けてる…。

「でも、それは褒められたことではなくて……気がつくのが遅くて。大島さんと色々話してる間に、あっ、て思って。だから鈍いんです、私。その上、今更なんです。もう言わない方が良かったです。大島さんを……なんて言うか、傷つけてしまったので…」

これで謝ってるのか…、理屈ばっかりになって全然上手く伝えられない、気持ちは解ってもらえるかな。

「大袈裟だよ、傷ついてなんかないよ、そんなことないよ。嬉しかったって言っただろ?あ、お酒は飲めないって言ったよね?」

「はい、すみません」

「いやいや、謝らなくていいことだよ。ご飯だけど、その先に創作料理の店があるからそこに行こうか。なんでもって言ったら言い過ぎかもしれないけど、好みの物が食べられると思うから。いい?」

「はい、ではそこでお願いします」

嫌ですという理由がない。

「よし、決まり。ちょっと確認してみるから…ちょっと待ってて。行って一杯だとがっかりだからね。………あ、もしもし、お世話になってます、大島です。え?だから……児島じゃなくて大島。もう、今は、いつものそれはいいから、…はい。…二人なんだけど空いてる?……」

大島さん、仕事モードっぽいな…声のトーンが高い。そうか…、今から行くお店は本当に常連なんだ…。

「………じゃあ、よろしくです、はい。お待たせ、OKだって。行こうか」

「…はい」

こんな感じのままでご飯の場が…。

「はい、リセットリセット。暗い顔はなし。もう終わり。今からはご飯を食べて帰るだけ、いい?」

あ。…大島さん。

「はい、すみませんでした、解りました、食べます!フフ」

鈍よりとさせたまま大島さんを帰しては駄目だ。よし。…何を食べさせてもらえるかな…。
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