可愛らしさの欠片もない
まさか、今夜のうちに返信があるとは思わなかった。
【彼のこと?それとも、どうやって帰ったかってこと?それと、メールのこと?】
そのどれもだ。優劣は…ない。
【全部です】
…………あれ?
大島さんこそ、改めるのかな?メール、もう来ないみたい。じゃあ……シャワーでも浴びて、寝直そう、と。
ピンポン。
え、誰か来た。
「……は、い」
ドアをそっと開けた。あ。開けておいてなんだけど、驚いた。
「駄目だよ、はぁ……夜なんだから簡単に開けちゃ…てね」
「……大島さん」
なんで…。
「どう…したんですか?…」
…来るなんて。とにかく驚いた。
「驚かせたよね、びっくり、した……でしょ。…はぁ」
あ、汗が、流れてる。
「走って来たから。一緒に帰って来たから解ったんだけど…割りとご近所さんだったんだよね」
あ、あ、そういうことか。…でも来るなんて。本当、驚いた。
「お茶…麦茶、飲みます?それとも、お水がいいですか?
……あ、どうぞ、とにかく、入ってください。…汗だって…拭かないと、タオル…」
「構わないの?」
…だって。…そう言われても。話すために来たんだろうから。
「ここでこのまま飲んでもらうのはちょっと、です、大丈夫です。入ってください」
一度、送ってくれてるんですよね?だからそれほど……まあ、抵抗は感じないのは感じないけど。
「では、……お邪魔します」
遠慮気味に上がった。申し訳ないが来客用のスリッパはない。…一つくらいは……買っておいた方がいいのかな…。
「どうぞ。あ、どっちがいいですか?」
短い廊下を進んだ。知っているだろうソファーを勧めた。
「んー、麦茶で、お願いします。あ」
「はい?」
「割りと、多目に、お願いします」
「クスクス。はい、解りました。大きなグラスはないので、取り敢えずこれで。沢山作ってあるのでお代わりしてください」