可愛らしさの欠片もない
香りと共に湯気があがっていた。それだけ冷房が効いているってことだ。ホットを飲むには丁度いいのかもしれない。
静かにカップを持ち上げた。口を付け、飲んでる姿がとても画になる人だと思った。…でも…なんだか…遠い。今からドキドキするような会話をするとは思えないくらい、なんだか淡々としている。あ…ドキドキは勝手にするものだ。だって、そうだ、この人はいきなり言われた立場の人だから。思いを持っていた私とは違う。そこまでのことではないんだ。…それを、この人は冷たい人なのかもしれないと思っていた。
「何を思っていますか?」
あ。…私よりこの人は大人だ。
「私はこんなものですよ?」
「え?」
想像していたことが解るのだろうか。
「ただ見かけて好きになった相手なんて、あなたが都合良く理想に寄せた見方ですから。そして、さっきの私。あなたをとても気遣った。それで、優しくていい人なんだと、また、プラスポイントを自然と足している。違いますか?どれも見せかけ。外面ですよ?」
…あ。これだ。この冷静さ、遠いと思ったのはこれだった。どこからなのか知らないけど、私は試されていたのかもしれない。それを無意識に感じたから…。んー、試すって、でもそれはそうかもしれない。お試しのつき合いでとお願いした。
試されるのは当然かもしれない。突然声をかけてきた得体の知れない女ですものね。