可愛らしさの欠片もない
「今はね」
「……え?」
今はねって、はぁぁ……そんな当たり前のことを…、意味ありげに言わなくても…。
「とにかく座って。頼むから座って」
…。仕方なく座った。だけど、何を聞くっていうの?……このままだとつまり不倫でしょ?不倫なんて嫌よ。それに…つき合おうと承諾したこと、体だけの“つき合いなのかもしれない。しれないじゃなくて、それ意外になにがあるの?そんな…それこそ先の見えない関係…。するものではない。私にそんな割り切った関係は無理。これ以上しつこいと一気に嫌いになりそうだ。それでいいのか……あーもー、さっきの告白を返して。どんだけドキドキして頑張ったことか…。
「離婚、するんだ。今は調停が長引いている」
…はぁ。立ち上がった。
「止めてください…そんな話……もういいです。…よく聞かされる話と同じ…。…もうすぐ離婚するからとか言って、関係を…繋ぎ止めておく言葉です」
…関係はまだないけど。
「そういうのもあるだろう。だけど違うから。冷静に考えて。俺とあなたはなんでもない。男女の関係もない、そうだろ?とにかく座って」
…そうだけど、だからと言って。そこは、関係はなくても。…今からってことでしょ?つき合うんだから。
「…今からつき合える人ではないです」
あっ。側に来て両腕を掴むとゆっくり座らされた。
「だから、お互いを知ることから始めようと言ったはずだ。まだ何も関係のない状態なんだから」
?。だから、何もなければ引き留められなくていいじゃない。…え?じゃあ、何故、やめようとせずつき合おうとするの?え?…え…よく解らなくなってきた。よく知りもしない私に執着することはないはず……どうして?つき合うの?
「はぁ…お互いを知るってことは、それは…普通の場合の話です。そう私は取りました。だから、嬉しくて…それがまさかこんな…」
のこのこここにだって来たんだ。こんなことを聞かされるための、お互いを知る、ではない。では、知ったことによって終わり、さよならだ。
「言葉の意味は間違ってない」
「それは…、今、聞かされると屁理屈としかとれません」
そうよ、屁理屈以外のなにものでもない。