可愛らしさの欠片もない

「ごめん、俺も狡かった」

え。急に何よ…素直に謝るんだ…。

「それは認める。だけど、あそこでこんな話はできないと思ったから、あんな風に言ったんだ。それは解ってほしい。こういう状況の男でもいいのかって、知ってもらって、考えてほしい」

今から不倫をしようなんて…そんな話。
……今のこの人の状況に関係なく好きかって…?それは。

「あ、でも…だから…」

駅の構内だったとしたら、奥さんだの妻だのと、挙げ句離婚だ、まるで休日の不倫カップルだ。こんなところで、そんな話をと、周りにどう見えていたか…だから移動した。それは、解らないでもない。はぁ。…だけど。

「とにかく、話を聞いてほしいんだ」

…もう…話し方も変わって来てるし。この人が言ってたみたいに、外面と内面は違うのかもしれない。そこは本当に正直に言っていたのかも…。

「ここは人が居ないから話しやすいだろ?そろそろ昼になるからとにかく少し何か食べよう。話の続きはそれからにしよう。軽食は充実してるよ?」

え?お昼?中断して?お昼っていっても、…後に話があるんだと思ったら呑気に食べられるものでもないのに。私は別に、このまま続けて話を終わらせたい。…帰ってもいい。

「どんなときだって、規則正しく暮らしている人はお腹が自然と空くものだよ。空腹になり過ぎると思考も上手く働かなくなる。糖質は大事だ。メニュー、もらうから。……すみませ~ん」

凄く尤もらしいことだ。
大島さんも離婚。この人も離婚中。この人の離婚理由は一体なんだというの。……それこそ、浮気…不倫…だとしたら、つき合ってはいけない人だ。女好きの人は変わらないって言う…。すんなり離婚になってないらしいから。揉めてる。やはり女性関係での離婚かもしれない。
……どうしてそんな人を私は…はぁ。そういうこと、全く眼中にないのが一目惚れというものだけど。……はぁ。…いい男というのは極めて要注意ということだろうか。確かに、この人のこの問題とは関係なく、モテていそうな人には何かとあるものだ。
手に入れるには代償があるって、思っておかないと駄目だってことだ…。はぁ…。
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