可愛らしさの欠片もない

【私の名前は咲来優李、さくらゆい、です】

送った。

「あっ」

届いたらしい。…番号は合っていたようですね。

「連絡してくれということでしたので、従いました」

高慢な態度だ。可愛くないことをしてしまった。携帯を取り出し見ている。

「フ…本当、面白い人だよな。こんな面倒臭いこと。今は口で言えば済むのに…」

べー、だ。元々の元。名前なんて席についたときにだって言えてました。自己紹介ってそういう感じでしょ?…それを畏まっちゃって…。

「はっきり言って頂いても結構ですよ、変人だって」

ご覧の通り意地っ張りですし。

「フ、ハハ。…本当、面白いな。では咲来さん」

「…はい」

…私のことは名前で呼びたいとかないんだ…。まあ、それは、……どうでもいいけど…。

「ん?不服だった?優李、が良かったんだ」

顔つきがおかしかったかな。頬を触った。

「…違います。よく、ゆりって間違われるし…」

何か、…これって負け惜しみ?

「あぁ、漢字だけだとね。まあ、名前は仕方ないよ。好きなように読ませることができるんだから。そろそろ、本題」

「あ、はい」

スパッと余談は切り替える…。余談って会話の中の大事な役割なんだけど。…今はそれは…いらない会話だ。

「離婚はまだだけど、調停中。これは話したよね。それで、なんで長引いているかというと」

「待ってください。それ、私が知るべきことですか?」

夫婦のことだ。
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