可愛らしさの欠片もない
「別に俺は、優李に俺の世話を頼みたい訳じゃない。お互い自立してる」
「え?」
肩に頭を倒された。
「ご飯はいつでもどこでも大概食べられる。飲食店はいくらでもある」
頭に手を置かれた。
「…そうでしょうけど…」
安らぎみたいなものは、家でゆっくりご飯を食べることにもあると思う。外食ばかりしていては…。と私が気にしても、バランスの取れた食事、自分だってしていない。作れてない。訊いてるくせに…矛盾してるか…。食べるということに重きをおいてないのかもしれない。
「遅くなって食事のことで負担というか、揉めたりしたくない。機嫌を悪くする必要はない。連絡ミスで作ってないのかとか、要らないって言ってあっただろ、とか、言いたくない。そんなことが煩わしい」
…それは、…経験。
「ご飯のことじゃなくても、自分の勝手な判断で起きて待ってたら、みたいなものはそれも面倒臭いってこと?」
無事帰ってくるのか心配だから、顔も見ずに先に寝てるなんて出来ない気がする。それも鬱陶しいのかな。
「それとは違う」
…それは…してても煩わしいとは思わないってことかな…。あ…これは…一緒に暮らしたらってことだ。……。
「…よく解らない…」
「だから、いいと言ったらいいんだ。それに裏はない。深読みしなくていい」
「解りました」
「優李、何かあったのか?」
…。駄目だ。この間が肯定してしまってる。
「隠せもしないし、言いもしない、か」
「……可愛らしくなくてすみません」
このことは…言いたくない。違う返事ならいくらでもできる。それしかできない。
「俺は怒られること、優李が機嫌を悪くすることをしたのか?」
「え?いいえ…」
そんなことはない。むしろ時間より早く居たなんて。…そう行動した気持ち、…嬉しい。
「だったら、何故、俺は優李にこんな態度を取られなくちゃいけないんだろうな、おかしいよな」
…よく解らないことで。甲斐さんに対して百パーセントの気持ちで接してない。
「…八つ当たりか」
…違う。ちょっと違う。
「んー、じゃあ、帰るよ、居ても煩わしいだろ」
あ。……これは、私のこれは嫉妬だ。
「………久田実妃って知ってますか?」