可愛らしさの欠片もない
「過ぎたことは変えられない。今までどうにもなってないもの、これからだってどうにもならない。
恋愛とはお互いの気持ちが通じ合って繋がるものだ。片方に思いがあってそれがどんなに強くても一方的では成立しないんだ。……実妃の気持ちを知ったとき、俺の気持ちは言ってある。友達以上はないと。その時点で終わってる。それまでだってそうだ。昔のことだ。とうに終わってる。始まることのない思いだ。
冷たく聞こえるか?でもどうしようもないだろ?実妃はいい奴だ、とても。気遣いのできるな。だけど、なんだ。どんなにいい人だって対象でない人は対象外。無理して好きにはなれないだろ。
人を好きになるかどうかなんて、同情だとか、なんとか努力して好きになるもんじゃない。気がついたら好きになってたって、そういうもんだろ?今の優李なら解るはずだ。……はぁ。
…どうしたらいいなんて言ってるようでは優李は俺のこと、それほど好きじゃないのかもな。別の人、自分に近い人が好きだと思ってると知ったら、途端に止められるくらいの思いなら、優李の好きは何が真実なんだろうな。そんなことされたら、実妃だってがっかりすると思うぞ」
実妃さんは私と違って器が大きいって言いたいんだ。二人はお互いに相手をよく知ってるんだものね。
「……妬いたんです。先輩がいきなり駿脩って名前呼びをしたから。…甲斐さんだって、先輩のことをあいつとか、実妃とか言ったから。…私の知らない世界があるって。知らないからどこまでも解らなくて。
嫌だっただけです。知らないことにどんどん嫉妬する自分も。全部、嫌です。何もかも」
「俺のことも」
…。ある意味…恋に落ちたという部分では好き。別のある意味では…好きじゃない…好きじゃなくなりそう。
「…頭、冷やします」
…フツフツとしたものがそう思わせてしまう。
「名前くらい、くらいって言うとまたあれか。若いときなら呼び捨てにもするだろ友達同士なら。自分はどうなんだ?こんな、比べるような言い方は好きではないが、これまで男女問わず誰一人呼び捨てにしたことはないのか?全くなかったとは思わないけどな。
……はぁ…どうしてそうなる」
「え?」
「妬いた、嫉妬したって言ったんだ。そのことで頭を冷やす必要はない」
「え?」
…解らない。
「そのままでいいんだよ、それが普通だ。それでいいんだよ。それに何も心配いらない」
「でも…」