可愛らしさの欠片もない
「ここまで話させておいて甲斐とのこと止めますなんて、言わないでよ?
全然、難しい男じゃないと思う。私があまり知ったようなことをまた言うと気分が良くないのは解るけど、そういう男よ」
昨夜のうちに、あのメールの名前を見たあとで、もう、完全に私と甲斐さんを結びつけて…沢山お酒を飲んだ。…お酒は…沢山飲んだかどうか、そこは嘘かもしれない。…飲んだって言った方が、その方が印象がいいから言っただけなのかも。
「それと、自分勝手に色々と想像をしないこと。そんな、きりがないこと…無駄よ。自分の頭で考えただけのことなんて、ろくな考えじゃないんだから。大抵悪い方にしか考えない。…みんなそうよ。不安なのはあなただけじゃない。人を好きになるってこと、解るでしょ?」
…甲斐さんを信じろって。
「…はぁ。一から十まで言われなくても解るわよね?じゃあ、先に行くわね。今日はポットの用意、私がしてあげる」
あ、何も、私から言葉を返すこともなく終わってしまった。してあげるって言い方もわざとだ。
こんな風に言われても、私は今、返す言葉がない。先輩の言葉で全部終わった。収めてくれた。……はぁ。何一つ、自分一人で立つことも出来ない。
偶然じゃないと思った。今朝、会社につくまでに会ったこと。いつも決まった時間に来てる私のことなら計画は立てやすい。
話は会社につくまでに済ませておきたかった、そういうことだと思う。やっぱり、器が違い過ぎる。
携帯を取り出した。
【独りよがりな考えしかできず申し訳ありませんでした。自分は劣っている、周りの人はどれだけ先を行っているのか、そんなつもりはなくても、浅くて考えが甘かったです。もっと物わかりのいい人間になれるよう努力します】
…はぁ。