可愛らしさの欠片もない
「余計なこと、したか?」
「え?」
「今日、どうだった?」
「何がですか?」
「…朝、話さなかったのか」
あ。
「はい、先輩ですね」
「そうだ」
言葉を削ぎ落としていても、朝といえばそうに決まってますよね。すみません。
「何も言えませんでした」
返せませんでした。
「は?」
いや、そんなですね。ちゃんとしましたから。
「あ、あの、人として違いすぎて、先輩に上手く収めてもらいました。そんな感じになりました。だから私は何をする…言う間もなく、……間はありましたけど、終わってました。だから今日どうだったと聞かれたときピンと来なくて、それだけ、なんでもなかったような状態だったので、先輩とは元と変わりないです」
関係性はです。あ、でも、先輩の本当の心、奥底、それは解らないけど…。
「そうか。もうなんでもないんだな」
「はい、気にしません」
迷いなく気にしませんとは言ったものの、そこは、まだ解りません。
あっさり返事はした。単純過ぎるかな。先輩の話では甲斐さんとは連絡してなかったと言ってたのに、私のために連絡してくれたんだ。
私の頭ってどうなってるんだろう。直ぐ忘れてしまうようにできてるんだろうか、何だか調子がよすぎて、……虫がよすぎる。
「有り難うございました」
連絡することで、先輩の心に波風を立ててしまうことになるだろうと、きっと考えたはずだ。
連絡が来た、どう表示されるのか知らないけど、その瞬間、先輩はどんな気持ちになったのだろう。単純に嬉しいではないと思う。……その逆だ。受けたくないメールが来たって。それも咲来優李のためのメールだって、開ける前から解ってたと思うから……はぁ。