可愛らしさの欠片もない

「優李…」

「あ、何か飲みますか?すみません、ボーッとしてしまって、今…」

「優李…、なにしてた」

帰って来てからのことですよね。

「え?…なにも」

「風呂は」

「まだです」

「いつ入るんだ」

「あ、まだ、あとで」

立て続けに質問攻め、え?なんですか?ちゃんと部屋に居ましたよ?

「じゃあ、俺が今からしたいって言ったらどうするんだ」

「え、あ」

したい?ど、ど正面からのアプローチですね。

「シャワーしてくるから、待ってろって?」

「あー、………はい、そうなります」

……あ、ちょっと待って…。待ってるって言ったことは、大丈夫なようにしとけって意味もあったってこと?

「このままでいいって言ってもか」

「あ、うー、はい、多分」

だって、流すくらいはしたい…。

「来るけど時間がなくて直ぐ戻らなきゃいけないんだ、居ても一時間ちょっとかもしれない、それでも行っていいかって、言っておくべきだったか」

「え、ええ?!」

凄い早口。そうなんですか?

「だとしたらどうする」

それでも、その時間を削ってもシャワーすることを選ぶのか、ですか?

「……だったら、そう言ってくれてないと解りません」

「だからどうする」

解らないではなく、どうするかを聞いてるんだ、ですか?
先輩は甲斐さんのこと解りやすいって言ってた。それはきっと知ってるから言えることだと思う。私にはやたら難しいことを言ってくる。人間性を試されてるの?
だったら、ご飯だって本当は作ってほしいってことじゃないの?

「あ、どうするって……」

「簡単だ。身構え過ぎだ。そのままでいいんだから」

「そ、それが嫌だって言ってるんです。気持ちはそうでも現実は現実です」

気持ちにシャワーは要らないでしょ?でも体は物体なんだから、せめて小綺麗にさせてくださいって言ってるでしょう!
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