嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
不安に駆られている私を尻目に、仁くんはなにやら考え込んでいる。
「本当に……いや、いい」
それからひとりでよく分からないことを呟いた後、軽い咳払いをして、改めて私の瞳を見据えた。
来る。
背筋を伸ばし、奥歯を食いしばった。
「花帆が好きだ。この先もずっと一緒にいてほしい」
……え?
拒絶の台詞を浴びせられるとばかり思っていたので、仁くんの想いがすんなり頭に入ってこずポカンと立ちつくした。
「これから俺が話す内容を聞いて、それでも俺を受け入れてくれるのなら、改めて花帆にプロポーズさせてほしい」
「う、うん?」
頭が上手く働かない。
好き?
「立ち話もなんだから、お邪魔させてもらってもいいか?」
仁くんの長くて綺麗な指がリビングのドアを指す。
「いいけど、冷蔵庫は空っぽだし、水道水しか出せなくて」
そんなことより、プロポーズって?