嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
だから昔から大人びていて、真っ直ぐな人なんだ。
そしてどれだけの覚悟を持って私との結婚を決めてくれたのか考えたら、逃げ出した自分が情けなくて恥ずかしくてどうしようもなかった。
「仁くんはいいお父さんになるよ。だって私の面倒を嫌な顔せずみてくれたし、優しく接してもらった記憶しかないよ」
「それは花帆だから……」
「平凡な私を可愛いと思えたのなら、自分の子供はめちくちゃ可愛いよ」
自分で言うのも悲しくなるけれど、写真で見る限り、赤ちゃんの頃の私はよくも悪くもないとにかく普通だった。
「どこが平凡なんだ。こんなに可愛いのに」
慈しむような眼差しで私を眺める仁くんは、間違いなく子供に愛情を注ぐことができる。
それにしても。
「いまだに仁くんが私を好きというのが信じられないんだけど」
「そうだよな。ずっと避けていたし、そう思うよな」
「いつから、その……」
「花帆が中学生になった頃から」
「中学生!?」
驚きすぎてソファから転げ落ちそうになった。
「引くよな」
「いやいや、引かないよ」
むしろ喜び狂って叫びだしそう。