嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
「多感な時期だったし、花帆に手を出しそうで距離を置いていた」

「そんな理由で私を避けていたの!?」

「そんな理由って、俺にとっては死活問題だった」

「出しても……」

 避けられて切なかった。それなら手を出してくれた方がよっぽど……。

「ん?」

「ううん、なんでもない」

 もし中学生の時に両想いになっていたら長く続かなかった気がする。

 今でも子供で、キスひとつでパニックになるくらいだから、中学生の私には仁くんの恋人など務まらなかったはず。

 そう考えたら、このタイミングで仁くんと向き合えてよかったのかもしれない。

 でも、余計に分からなくなる。

 中学生の私に仁くんを射止める魅力があった? むしろ同級生と比べると垢抜けていない方だったし。

「もしかして仁くんってロリコン?」

「あいにくそういう趣味はない。普通に女性的な部分が好きだ」

「女性的って」

 まだ話している途中なのに唇に噛みつかれた。

「んっ」

 角度を変えたキスが深くなっていく。緊張や戸惑いがだんだんほぐれて気持ちよくなってきたところで、大きな手のひらにそっと胸を包み込まれる。

 肩がビクンと跳ねた。仁くんは唇を僅かに離して、肌に吹きかけるように囁く。

「この辺りとか女性的だろう」

 身体が燃えるような恥ずかしさに襲われる。同時にお腹の底の辺りから湧き上がる情欲に身体を震わせた。
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