嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する

 
 話し合いを終えて、まだ運んだものが乱雑する寝室へと移動した。

「せっかくスッキリしていたのに、私のものでごちゃごちゃしちゃうね」

「花帆に囲まれているみたいで俺は安心するけど」

「そ、そう?」

 仁くんが! 甘い!

 告白してから糖度がとどまるところを知らない。

 もしかしてこのままシロップ漬けみたいにされちゃう?

 それで食べられ……って、うわあああ!

 私ったらなんてハレンチな妄想を!

 すぐ近くにあったぬいぐるみを抱き締めて、やり場のない感情をどうにか抑え込む。

 仁くんは先ほどうちで解体したばかりのドレッサーを再び元に戻して、どこに置こうかと思案している。

 カッコいい男性は仕事も早い。

 部屋の整理を終えて、汗をかいたからとふたりともシャワーを浴びた。私は化粧とヘアセットを直して、やっと一息つけたのは十五時を回る頃だった。

「もうこんな時間か」

「出掛けられなくて残念だけど、仁くんやみんなとたくさん話ができたからよかった」

「まだ時間はあるだろう。花帆とのデート楽しみにしていたんだ」

 仁くんが優しい表情を浮かべる。

 さっきからずっと笑ってくれる。これが恋人の特権ってやつ?

 もう、最高すぎる。
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