嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
「私もすごく楽しみにしてた」

「今からでも出かけないか?」

「本当? 嬉しい! 仁くんは今日どこに行くつもりだったの?」

 お互いに行きたいところを考えておこうと話したきり、今日のデートについて触れてこなかった。

 私は照れ臭さがあったし、仁くんもそうだったのかもしれない。

 当日の天気や気分で決めればいいかな、なんて思っていたけれど。

「遊園地」

「ええ!?」

 まさかそんなプランを立てていたなんて。すっごくうれしい。

「似合わないよな。でも花帆が好きだろうと思って」

 照れ臭そうに目を逸らす仁くんに胸がキュンっとなって、もうっ好きが止まらない。

「えっと、じゃあ、行く?」

 仁くんはなにやら考え込む。

「……今日は、もう少し花帆と話がしたい」

「うん。そうしようか。私は仁くんと一緒なら、なにをしていても楽しいよ」

 すぐに返すと、仁くんは私の瞳をジッと覗き込んだ。

 な、なに?

 ドキドキを通り越して、ドンドンッと太鼓のように心臓の音が全身に鳴り響く。

「花帆を独占してもいいか?」

 どういう意味?
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