嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する

 
 迎えた約束の日。朝霧家総出で東京駅に向かい、北陸新幹線に乗車して沙倉さんたちが住む長野県軽井沢町へ向かう予定をしている。

 平日の早朝でも人は多い。プラットホームでビジネススーツを着た会社員らしき人たちが並んでいる列の後ろにつく。

 みんな明日は仕事があるし、杏ちゃんも大学なので日帰りの予定。身軽な出で立ちのなかで、黒い縞模様の風呂敷を持った仁くんは目立った。

 なにが入っているのか予想済みなのか、みんなはあえて突っ込まない。

 それにしても風呂敷って。センスがよすぎる。

 私は風呂敷を使った経験すらないのだけど、仁くんは他にも持っているのかな。

 淡いストライプシャツに白のカットソーを着て、チャコールグレーのアンクルパンツを穿いた足元には黒色のスエードシューズ。

 シンプルさのなかに男性の色気を感じさせる服装に、風呂敷の柄がぴったりマッチしている。

 私は移動時間と距離が長いので、動きやすいように黒と白の花柄マキシスカートと白のカットソーの上にくすみピンクのカーディガンを羽織った。靴は黒色のスニーカーパンプス。
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