嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
杏太と花帆はとにかく仲がいい。俺とは婚約するまでろくに目も合わさなかったのに、杏太とはふたりきりで食事に出かけたり、母屋のリビングで楽しそうにお喋りしている姿は幾度となく目にしている。
だから花帆の見合い話が浮上したとき、両親はあたり前のように杏太の名前をあげた。
それに十歳も離れた俺より、一歳違いの杏太を選ぶのは自然な流れだろう。
でも頭では理解できても心が納得してくれなくて、先のことなど考えもせず、『できれば俺が見合いしたい』と口走っていた。
あのときの両親の顔といったら――。
「大丈夫? 疲れてる?」
いつの間にか物思いに耽っていたらしく、眉毛を下げた顔に覗き込まれた。
「溜め息ついていたけど」
「ああ……いや、なんでもない」
お見合い相手に名乗りをあげただけだ。それだけで俺の秘めたる想いに気づいた両親は意味深な笑みを浮かべ、今でも思い出しては居た堪れない気持ちになる。
だから花帆の見合い話が浮上したとき、両親はあたり前のように杏太の名前をあげた。
それに十歳も離れた俺より、一歳違いの杏太を選ぶのは自然な流れだろう。
でも頭では理解できても心が納得してくれなくて、先のことなど考えもせず、『できれば俺が見合いしたい』と口走っていた。
あのときの両親の顔といったら――。
「大丈夫? 疲れてる?」
いつの間にか物思いに耽っていたらしく、眉毛を下げた顔に覗き込まれた。
「溜め息ついていたけど」
「ああ……いや、なんでもない」
お見合い相手に名乗りをあげただけだ。それだけで俺の秘めたる想いに気づいた両親は意味深な笑みを浮かべ、今でも思い出しては居た堪れない気持ちになる。