嫁入り前夜、カタブツ御曹司は溺甘に豹変する
「兄弟だしあんま野暮なことは聞きたくないんだけど、なにもないわけ? 毎晩同じベッドで寝て」

「ぎゅってされた」

「ハグ的な?」

「うん」

「それだけ?」

「うん」

「ふーん……」

 微妙な空気が流れた。

「やっぱりダメ? 脈ナシ?」

「いやあ、どうだろう。でも健全な三十代男性とは言えないな。俺だったらいずれ結婚する相手なんだから、愛を深めるためにもスキンシップは重要視する」

「だよねぇ」

 やっぱり私が妹のような存在で、そういう気が起きないのかな。

 そんな状態でどうやって子供を作るつもりでいるのだろう。

「まあ、焦るな。長年の片想いが実っただけでも奇跡だろ」

「そうだよね! 仁くんのお嫁さんになれるなんて奇跡としか言いようがないよね!」

 自分に強く言い聞かせる。
< 74 / 214 >

この作品をシェア

pagetop