きっと、月が綺麗な夜に。
「これは一雨来そうですねぇ」
師匠さんがぽつりと呟く。空は相変わらず灰色で、くん、と匂いを嗅ぐと、潮の香りに混じって雨が来そうな匂いが少し、鼻を掠めた。
『あの日』から一歩踏み出した僕は、もう頭も痛くならないし、どうてことはないのだけれど。
「可哀想だけど2人を起こして撮影を巻きましょう」
手元の梅酒ソーダを飲み干して師匠さんが立ち上がると、僕と優も頷き、同じく手元の飲み物をぐい、と飲み干して立ち上がる。
足早に車の方へ戻る師匠さんに続こうと歩を進めると、ぐい、と優が僕の手を引いた。
「さっき公園で、猫ちゃんに抱きつかれて何言われたの?とらちゃんあれからずっと変な感じ」
「……見てたの?」
「最初はイチャイチャしてんなあって思って後でからかおうと思って盗み見てたけど、何か雰囲気がおかしくて」
何を言われたか、なんて詳細に言えるわけがない。なんせ、僕の中でもまだ処理しきれていない言葉なんだから。
「美矢がどこに向けてあの曲を書いたのか、言われただけさ」
少し迷いながらも、付き合いが長くて嘘をつけない優に、端的に事を伝える。
すると、優はぎょ、とつり目の奥二重を見開いて、「はああ」と盛大にため息をついた。
師匠さんがぽつりと呟く。空は相変わらず灰色で、くん、と匂いを嗅ぐと、潮の香りに混じって雨が来そうな匂いが少し、鼻を掠めた。
『あの日』から一歩踏み出した僕は、もう頭も痛くならないし、どうてことはないのだけれど。
「可哀想だけど2人を起こして撮影を巻きましょう」
手元の梅酒ソーダを飲み干して師匠さんが立ち上がると、僕と優も頷き、同じく手元の飲み物をぐい、と飲み干して立ち上がる。
足早に車の方へ戻る師匠さんに続こうと歩を進めると、ぐい、と優が僕の手を引いた。
「さっき公園で、猫ちゃんに抱きつかれて何言われたの?とらちゃんあれからずっと変な感じ」
「……見てたの?」
「最初はイチャイチャしてんなあって思って後でからかおうと思って盗み見てたけど、何か雰囲気がおかしくて」
何を言われたか、なんて詳細に言えるわけがない。なんせ、僕の中でもまだ処理しきれていない言葉なんだから。
「美矢がどこに向けてあの曲を書いたのか、言われただけさ」
少し迷いながらも、付き合いが長くて嘘をつけない優に、端的に事を伝える。
すると、優はぎょ、とつり目の奥二重を見開いて、「はああ」と盛大にため息をついた。