きっと、月が綺麗な夜に。
MV撮影から程なくして、ケンゴから完成動画をいち早く貰った。
受験生のくせに勉強はそこそこに、動画編集ばかりしていたのは、教師としてはあまりいただけない。
勉強は要領よくこなし、受験も希望校に専願入試予定で進めているから、心に余裕があるのも分かるけれど。
「じゃあ、再生するね!……ああ、ちょっと待って、やっぱりまだダメ!どっかミスあるかも、もう一回確認してから!」
「さっきからそればっか……って、前にもこんな会話したよね」
なんて、可愛い会話をしながら、美矢はケンゴからノートパソコンを奪い取り、再生ボタンをクリックした。
初めは穏やかな波の音と、少女がしゃがみ込んだ膝小僧のカット。これは海で撮った千明の映像だ。
砂を手ですくい上げ、サラサラと落としながら段々と千明の顔がアップに映し出されるタイミングで、海でまっすぐカメラを見る美矢のカットがチカチカ、と入り込むオープニング。
膝の上でクロミを撫でながらその世界に吸い込まれていく美矢と、さっきまで恥ずかしそうだったのに真剣な眼差しで画面を見るケンゴをちらりと横目で確認し、僕も画面に集中した。