きっと、月が綺麗な夜に。
力なく膝から崩れ落ちそうな美矢の体を、ぴゅん、とタオルを持った男がタオルごと抱きしめる横のカットが入り、幕を閉じる。

美矢メインのカットで肩から胴しか移ってなかったが、これは間違いなく僕なわけで。


「つ……!使って良いなんて、言ってない!」

「言ったらダメって言うじゃん。だってさ、何か美矢ちゃんにとってキツいMVだなって思ったけど、あのこじろうが美矢ちゃんにとっての希望みたいで」


そんな大それた気持ちでそうした訳じゃなかったのに、とんでもなく恥ずかしいところを至極真剣に使われてしまい、どう返したら良いか分からなくなる。

美矢も、感動をそこそこに最後のシーンで羞恥心を煽られたらしく、耳を真っ赤にして頭を抱えていた。


「このシーン無しじゃ完成とは言えないよ!こじろうの顔も出てないし、ね?いいでしょ?」

「や、えっと、うーん」

「皆協力してくれたのに、こじろうはダメなの?」


からかいのつもりが一切ない、純粋にまっすぐ見つめてくるケンゴに根負けしてしまい「分かった、分かったよ」と言ってしまった僕を、美矢が「フーッ!」と鼻を鳴らして威嚇してきた。

しまった、と思ったが最後、ケンゴはノートパソコンを回収してさっさと自宅へと戻って行ってしまった。
< 213 / 213 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
圓谷愁/著

総文字数/191,580

青春・友情369ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
罪を犯したあの日、感情を捨て失せた私。 そんな私の目の前に現れたのは、高性能ヒューマノイドロボットの『ルイ』だった。 ロボットのくせに温かくて ロボットのくせに柔らかくて ロボットのくせに私の感情をぐいぐい揺する。 「ありがとう。キミはボクの全てだったよ」 ねぇルイ、君の涙は本物ですか?
【完】ヴァンパイア、かなし
圓谷愁/著

総文字数/90,240

ファンタジー200ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
僕は『人間』でありたい。 そう切望する そう願望する その度に貴方の笑顔で胸が締め付けられていく。 先輩、僕を『化物』に変えないで ヴァンパイア×人間の少女 これは、現代に溶け込み、ひっそりと生きるヴァンパイアの少年の 悲(かな)しくも 愛(かな)しい ちっぽけな物語 2015/5/14 完結
【完】籠球ロマンティック
圓谷愁/著

総文字数/170,138

青春・友情388ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
中学時代の輝かしい栄光を心の中で引き摺り続ける、現在不良(見た目のみ)、15歳。 そんな俺を再びその世界に引き摺り込むのは、男子の憧れ、学年一の巨乳ちゃんだった。 バスケバカ×バスケバカ=無限大 それぞれが悩み、苦しみ、むず痒い程の青春に囚われていく。 青春は、あの頃よりも酷く輝いていた。 2014/4/1 執筆開始 2014/8/27 完結 ©愁檎

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop