きっと、月が綺麗な夜に。
「おかえり、お疲れ様。ケンゴもいらっしゃい!」
「お世話になります。お邪魔します」
僕や武明先生、他の先生にはちっとも使えない敬語を、りょーちゃんにはきちんと使ったケンゴは履き潰したスニーカーを脱いで先に上がっていく。
「あいつ、ご飯のいい匂いでさっきまで『女の子がいるんだろ』なんてモジモジしてたのすっかり忘れちゃってるよ」
「はっはっは!可愛いねー、男の子だ」
そんなケンゴの姿を後ろから2人して眺めていると、扉を開けた瞬間ぴし、と体に芯が通り固くなり、ぴょいん、とその場でバウンドしたケンゴに僕とりょーちゃんは噴き出してしまう。
「こじろう、おっおっお……!」
「やっぱり忘れてた?」
顔はものの見事に真っ赤に染まり、体全体がカチコチになったケンゴに喉を鳴らして笑いながら近寄り、扉の向こうにケンゴの頭ひとつ上から顔を出す。
食卓で出来上がった料理を並べるのを手伝っていたらしい美矢がまん丸の三白眼でケンゴを観察しているのが見えた。
「ただいま。美矢、この子島の唯一の中学生のケンゴ。ケンゴ、あちらが美矢」
カチコチのケンゴの背中をぽん、と叩いて美矢を紹介すると、ケンゴは壊れたおもちゃのようにわなわなと唇を動かしながら、なんとか「ばんわ」と3文字、音を出した。
「お世話になります。お邪魔します」
僕や武明先生、他の先生にはちっとも使えない敬語を、りょーちゃんにはきちんと使ったケンゴは履き潰したスニーカーを脱いで先に上がっていく。
「あいつ、ご飯のいい匂いでさっきまで『女の子がいるんだろ』なんてモジモジしてたのすっかり忘れちゃってるよ」
「はっはっは!可愛いねー、男の子だ」
そんなケンゴの姿を後ろから2人して眺めていると、扉を開けた瞬間ぴし、と体に芯が通り固くなり、ぴょいん、とその場でバウンドしたケンゴに僕とりょーちゃんは噴き出してしまう。
「こじろう、おっおっお……!」
「やっぱり忘れてた?」
顔はものの見事に真っ赤に染まり、体全体がカチコチになったケンゴに喉を鳴らして笑いながら近寄り、扉の向こうにケンゴの頭ひとつ上から顔を出す。
食卓で出来上がった料理を並べるのを手伝っていたらしい美矢がまん丸の三白眼でケンゴを観察しているのが見えた。
「ただいま。美矢、この子島の唯一の中学生のケンゴ。ケンゴ、あちらが美矢」
カチコチのケンゴの背中をぽん、と叩いて美矢を紹介すると、ケンゴは壊れたおもちゃのようにわなわなと唇を動かしながら、なんとか「ばんわ」と3文字、音を出した。