きっと、月が綺麗な夜に。
ひとたび食事が始まると、その緊張は緩かやにほどけるものだ。
変わらず凄い食べっぷりの美矢に「ほう」と感嘆の声を漏らしたケンゴの箸はすっかり止まって、美矢のその姿に釘付けだ。


「こじろう、女の子って皆こうなの?なんて言うか、イメージと全然違う」

「いや、皆こうじゃないよ、大丈夫。ぼやぼやしてるとご飯無くなるから君もどんどん食べな」


勢いよくおかずが無くなっていくのにハッとしたケンゴは、美矢に負けまいと慌てておかずを自身の皿へと運んで行く。


「多めに作ったんだけどなあ、足りないかな。若い子凄い」


標準の食事量のりょーちゃんと少食の僕は早くもおなかいっぱい、しかし、多めに作ったはずのおかず達は物凄いスピードで無くなって行ってしまう。

ひと足先に「ごちそうさまでした」と声をかけて皿を片付けた僕は、入れ替わりに食事の時間になってリビングにやって来たクロミのカリカリに、細かく切った自家栽培のピーマンをトッピングしつつ、消えゆく料理と若い2人の食事姿と、嬉しそうな作り手のりょーちゃんの姿にまたほっこりとした。
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