きっと、月が綺麗な夜に。
クロミもどちらかというと少食な猫で、最近やっと食事量が把握出来るようになって来て、その適量のご飯にしなやかな動きで寄った彼女は癒される咀嚼音と共に食事を始める。


「うわあ、本当にクロミが家猫になってる。俺、クロミがご飯食べてるとこ初めて見た」


ツンデレ猫で有名だったクロミがすっかり家猫化していることに驚きを隠せないらしいケンゴは、美矢から今度はクロミに視線が釘付けになり、再び動きが止まる。


「本当にその子ツンデレなの?あたしが見てる限り、すぐ擦り寄って来るし甘えん坊だと思ってたけど」

「ふぁふ……!う、うん。漁師たちが魚捌いてあげても目の前ですぐに食べたりしてなかったし、撫でたり出来なかったし、近寄ると走っていってたよ」


美矢に普通に話しかけられてまた不思議な声を上げたケンゴだったけど、徐々に会話が成立し始めている。

「そう」と短く返した美矢は、最後に取っておいたらしい茶碗蒸しに手を伸ばし、マイペースを貫き通している。

美矢が余裕でいてくれているから、多分、打ち解けるまでにもう時間はかからなそうだ。
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