きっと、月が綺麗な夜に。
「そういえばケンゴ、進路相談したいんだっけ?どうしたの?」


自分の皿を片付け終わり、一旦食卓へと戻った僕は、用意した4人分の麦茶をテーブルへ並べ、すっかり空っぽの残りの皿を代わりにかき集めながらケンゴに尋ねる。


「食べるのに夢中ですっかり忘れてた。あのさ、実は……」


話始めようとしたケンゴの声をちゃんと聞かせてくれようと、片付けを続行してた僕を制して出刃包丁を手入れしていたりょーちゃんが下げ膳を取り上げ、座るように顎で促す。

ありがとうを込めてうん、と首を縦に振り、ケンゴからそのまま目線を外さず美矢の右隣の定位置へ腰掛けた。


「あのさ、今、本土の公立の商業高校を第一志望にしてるんだけど、本当は俺、県外の私立の芸術学科があるとこに通いたいなって思ってて」

「へえ、そんな学校あるんだ。将来に何か目指してるものがあるの?」

「うん。大学は東京の映像勉強出来るとこに行きたいと思ってるんだ。将来、デザインと映像両方出来るクリエイターになりたくて」


意外だ、なんて失礼かもしれないけど、まだ14、5歳のケンゴは、もうしっかり将来やりたいことを見据えて進路について考えている。
僕がその当時は、まだ何も考えてなかったのにな。
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