きっと、月が綺麗な夜に。
ガタガタと雨戸を風が揺らし、雨が家を叩くような音がそこらじゅうに響き始めた頃、僕の仕事用のガラケーが音を立てて鳴り響く。
この時間、このタイミング、100%良い報せじゃないのは誰だってわかる。
素早くディスプレイを見ると、それは、千明と貴人のお母さんからの電話だ。
「もしもし、どうしました?」
「<<虎治郎先生………!千明と貴人がいないんです!どうしよう、どうしよう……!>>」
「落ち着いてください!こんな暴風雨であの子たちがこっそり家を出るなんて、そんなこと……」
あの姉弟に限って、こんな緊急事態に外に出ることなんてあるのか?落ち着いた千明に、大人の言うことをきちんと聞ける貴人に限って?
でも、もし本当に、家の中でかくれんぼしているのではなく、外にいるのだとしたら……。
風の音が、雨の音が毎秒ごとに強くなる。それと共に『あの日』がまたフラッシュバックした。
幼い僕は、今日みたいな台風の日、帰らぬ母を、もういるわけがないと分かりきった母を、涙なんだか雨なんだか分からないぐしょぐしょの顔で泣き叫びながら探して走り回っている。
あんな冷たくて、暗くて、痛い思いを大切な子供たちに味あわせてはいけない。
この時間、このタイミング、100%良い報せじゃないのは誰だってわかる。
素早くディスプレイを見ると、それは、千明と貴人のお母さんからの電話だ。
「もしもし、どうしました?」
「<<虎治郎先生………!千明と貴人がいないんです!どうしよう、どうしよう……!>>」
「落ち着いてください!こんな暴風雨であの子たちがこっそり家を出るなんて、そんなこと……」
あの姉弟に限って、こんな緊急事態に外に出ることなんてあるのか?落ち着いた千明に、大人の言うことをきちんと聞ける貴人に限って?
でも、もし本当に、家の中でかくれんぼしているのではなく、外にいるのだとしたら……。
風の音が、雨の音が毎秒ごとに強くなる。それと共に『あの日』がまたフラッシュバックした。
幼い僕は、今日みたいな台風の日、帰らぬ母を、もういるわけがないと分かりきった母を、涙なんだか雨なんだか分からないぐしょぐしょの顔で泣き叫びながら探して走り回っている。
あんな冷たくて、暗くて、痛い思いを大切な子供たちに味あわせてはいけない。