一匹狼くん、 拾いました。弐
「康弘さんあの……今年も面談頼んでいいです?」
歩きながら尋ねる。
「もちろん。進路希望調査票にはなんて書いたの?」
「専門学校と大学を一校ずつ。パティシエ、目指すかわからなくて」
康弘さんが俺の腕を掴む。
「どうして」
「最近色々あって、夢を諦めたくないのはなんとなくわかったんです。ただ……俺多分、スイーツ以外もやっぱ好きで。栄養士や調理師もありだなぁって」
康弘さんはほっと息を吐く。
「はぁ。よかった。妻が原因かと思った」
「……もう一年以上経ってますから。邪険にされてるのを思い出すことはまだありますけど」
ちょっとだけパティシェをまた目指したくなった。でもまだ、どっちがいいのかよくわからないんだ。
「申し訳ない。今日も来るよう説得したんだけど」
「いえ」
首を振ると、肩を叩かれた。同情で叩いた?
「面談までに進路どちらか考えないと。調理師と栄養士は確か短大だから」
話を逸らされる。バツが悪いんだろうな、母さんの態度が悪いままだから。
「なんだかんだパティシエ目指しそうなんですけど……俺多分、自分で店持ちたいんですよね。普通の食事も提供したいから」
康弘さんは腕を組む。
「志が高いのはいいことだけど、従業員育てられる自信ある?」
「いや、俺にはないです。ただ働いてくれるやつなら三人当てあります。結賀と伊織と廉。バイトだと思いますけど」
「確かに友達が働いてくれる確信があるなら、栄養士や調理師の資格をとってから一年生の専門学校を探していってみるのもいいと思う」
三年学校通うってことか。
「でも母さん……学費出さない」
「そこは全て僕が解決するから」
目をパチパチさせる。そんなことできるのか?
「無理しなくていいです」
「させてくれ。愛する息子の人生のためなんだ」
肩にある手を降ろしてしまう。
「……っ、血も繋がってない、母さんの説得もできてないくせに。中途半端なんだよ、あんたの正義感」
康弘さんは下を向く。
「そうだね。三年の時は必ず連れてくるから。連れて来なかったら縁を切っていいよ」
そうやって、何を言われても動じないところが心の底から憎いんだよ。
歩きながら尋ねる。
「もちろん。進路希望調査票にはなんて書いたの?」
「専門学校と大学を一校ずつ。パティシエ、目指すかわからなくて」
康弘さんが俺の腕を掴む。
「どうして」
「最近色々あって、夢を諦めたくないのはなんとなくわかったんです。ただ……俺多分、スイーツ以外もやっぱ好きで。栄養士や調理師もありだなぁって」
康弘さんはほっと息を吐く。
「はぁ。よかった。妻が原因かと思った」
「……もう一年以上経ってますから。邪険にされてるのを思い出すことはまだありますけど」
ちょっとだけパティシェをまた目指したくなった。でもまだ、どっちがいいのかよくわからないんだ。
「申し訳ない。今日も来るよう説得したんだけど」
「いえ」
首を振ると、肩を叩かれた。同情で叩いた?
「面談までに進路どちらか考えないと。調理師と栄養士は確か短大だから」
話を逸らされる。バツが悪いんだろうな、母さんの態度が悪いままだから。
「なんだかんだパティシエ目指しそうなんですけど……俺多分、自分で店持ちたいんですよね。普通の食事も提供したいから」
康弘さんは腕を組む。
「志が高いのはいいことだけど、従業員育てられる自信ある?」
「いや、俺にはないです。ただ働いてくれるやつなら三人当てあります。結賀と伊織と廉。バイトだと思いますけど」
「確かに友達が働いてくれる確信があるなら、栄養士や調理師の資格をとってから一年生の専門学校を探していってみるのもいいと思う」
三年学校通うってことか。
「でも母さん……学費出さない」
「そこは全て僕が解決するから」
目をパチパチさせる。そんなことできるのか?
「無理しなくていいです」
「させてくれ。愛する息子の人生のためなんだ」
肩にある手を降ろしてしまう。
「……っ、血も繋がってない、母さんの説得もできてないくせに。中途半端なんだよ、あんたの正義感」
康弘さんは下を向く。
「そうだね。三年の時は必ず連れてくるから。連れて来なかったら縁を切っていいよ」
そうやって、何を言われても動じないところが心の底から憎いんだよ。