一匹狼くん、 拾いました。弐
赦して、愛して。
 結賀はご飯を食べるとしっかり寝てくれた。仁に言われて、俺は結賀のそばから離れて、ベランダへ行く。

「ミカ、義理の母親と話せた?」

 隣にいる仁が聞いてくれる。

「うん、愛してるって言われて嬉しかった。仁は、神様に誓って純粋って言われたら、信じる?」

 仁は顔をしかめてしまう。

「いや……ごめん、信じられない」

 俺はすぐに首を振る。

「ううん。俺もそうなんだ。なにもかも手遅れになってから言われてもな」

 岳斗は生き返らない。俺の頭の凹みも永遠に治らない。それなのに許されないことをしたとか、ごめんねって言われても。

 でも、楽になった。心がずっとぐちゃぐちゃだったのは、そうじゃなくなった。

「大人はずるいんだよ、子供の十倍はな。愛してるって言ったくせに気まぐれに手を離す」

 仁はため息を吐いてしまう。すごく気持ちがわかる。

「そうだな」

「でもそんな大人が必要なんだ、俺達はガキだから」

 仁は後ろから抱きしめてくれる。温もりにホッとして目を閉じる。

「殺していいんだって、愛が偽物だったら」

「嘘つきが言ってたのか? わかってんじゃん」

 仁はくすくすと歯を出して笑う。葵を思い出しているのかも。

「うん。愛されてないわけじゃなくてよかった」

 仁は俺の頭に顔をのっける。

「もう幸せになっていいんだよ、ミカは」

「うん。これからのことはゆっくり考える」

 空を見上げて、俺は頷く。俺の過去はボロボロでめちゃくちゃだ。でも生きていける。きっと未来は明るい。そう信じたい。

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