一匹狼くん、 拾いました。弐
「っ、探そう、その人。手がかり探して」

 俺は仁を見て言う。

「は、何言って」

「だって知らないんだろ、仁がどんな扱い受けてるかも!」

 仁の母親が康弘さんを好きになったから、別れたんだろ。

「俺を愛してる保証は?」

 問題はそこだ。

「……ない。でも、あんな親よりはきっと」

 泣きながら仁の手を握る。俺は希望にすがりたいだけだ。でもそんなの仁も同じだ。

 結賀は俺と仁の手を握る。

「今はわからない、なにも。でもやるしかない」

「はぁ。なにからすんだ。父さんの部屋はねぇよ」

 ドアを開けて三階に行きながら仁は言う。

「康弘さんの部屋は? お金だけじゃなくて、何か送られてるかも」

 手紙でもあれば。

「ここ」

 三階の端にある部屋のドアを仁は開ける。

 机の上にあるのは、山積みのオープンキャンパスの資料と、大量の仁の写真。

 机の下にも資料がある。

「仁、康弘さんは」

 きっと、本気で仁を愛している。

「あぁ。あの母親も好きなんだよ、でも」

 最悪だ。捨てろよ、あんな奴。

「これ、なんだ」

 出窓の上にあった、鍵つきのケースを結賀は取る。

「暗証番号か」

 仁が呟く。

「仁の誕生日って、七月五日だよな。」

 仁が本気で好きなら、きっと。ダイヤルを0705に回してみる。

「は、嘘だろ」

 開いた。手紙と通帳が入っている。

 封が開いてる手紙を仁は取る。

『康弘様へ

お元気ですか。
仁のお写真、いつも送ってくださり、ありがとうございます。

もう高校二年生ですか。お早い。

妻は元気ですか。私はそこそこです。
仁がこれからも元気でいるよう、願っています。

どうかこの手紙だけは、仁に見せないでください。離婚をした私の字なんか、仁が見る必要はないです。

ではまた。渡瀬琴弥』
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