一匹狼くん、 拾いました。弐

 手紙をポケットにしまってから、仁は封筒に買いてある住所を読む。

「くっそ中途半端……北海道? 遠すぎんだろ。しかもこれ、番地ない。はぁ。合わせる顔ないからか」

 封筒が入っていた箱を仁は投げる。人でも殺しそうな鋭い目つき。

「なんでこんなクソに」

 会いに行きたくないよな。

 康弘さんなら、住所を知っているかもしれない。

「何時に帰ってくるんだ、康弘さん」

 俺と結賀は首をかしげる。

「九時くらいだろ、夜の。出版社だし、残業」

 頭良いのか。

「ホテルでも探すか」

 結賀はポケットからスマホを取り出す。ここで待機は仁が嫌だよな。

 一番近くのホテルを予約した。

「待って、おにい!」

 家から出ようとする仁を、妹は抱きしめる。

「触んなクズ」

 仁が手を振り解いても、妹は離れない。

「ごめん、ごめんなさい! 最低だよね、おにいがどんなことされたか知らないで頼って」

「……あんたが笑った日、俺は泣いてた」

 残酷な事実に、鳥肌が立つ。妹はそっと手を離す。

「そうだよね。何したら許してくれる」

 唇を噛んで、妹はまっすぐに仁を見つめる。

「許されるなんて思うな。今すぐお前を殺したっていいんだ」

 仁はただ妹を睨む。人を殺しそうな目で。

「はは、そっかぁ」

 泣き出した妹から、仁は目を逸らさない。

「どっちを取るんだ、お前は。あのバカ親か、俺か。こっちに来たいなら、料理と掃除はお前がやれよ」

 あれ、それって。

「え、あたし、一緒に暮らしていいの」

 妹の瞳がみるみる輝いていく。

「はぁ。成人するまでな。後もうひっつくな」

 笑いながら妹は涙を拭う。

 その後、仁は康弘さんの帰りを待っていることを妹に話した。すると、自分の部屋で待ってて良いと言ってくれた。

「なぁ、仁、お前の部屋は」

 結賀は仁の腕を掴む。

「バカ親の私物になった」

 なんだそれ。

「取っとかないのか」

 思わず、呟いてしまう。

「そんなことがあったら奇跡だろ。使っていいかも聞かれなかった」

 ため息を吐きながら、仁は答えてしまう。

 クズすぎる。


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