一匹狼くん、 拾いました。弐

 翌朝。目が覚めて、厨房で顔を洗う。化粧水ないかな。

 ウロウロしていたら、紅成さんの寝顔が目につく。

「嘘? アレって」

 しゃがんで、紅成さんの頬をつんつんする。嘘? わかったって。

「んぁ? おはよ」

 目を開けた。慌てて紅成さんから離れる。

「おはようございます」

「なんも嘘じゃねーよ」

 開いた口が閉じない。信じますけど。

「ち、チケット。取らないと」

「船ね。あとホテル。ガソスタ行くかぁ」

 あくびをして、紅成さんは洗面所に行く。

「紅成さん、化粧水」

「あ、ごめん。寮にある」

「お風呂借ります」

 頷いて、裏口からハニーフローの外に出る。

 結賀と俊が寮の五階から手を振っている。

「おはー、仁、俺達以外と寝るの珍しくね」

 結賀は笑い声を上げる。

「はよ。意外と寝れた」
 
 階段を上がりながら呟く。

「よかったじゃん。仲良いんだ、紅成?さん」

 俊の声を聞いて、首をかしげてしまう。

「よくわかんない。付き合いは長いけど……なぁ」

「んー?」
「何、仁」

 結賀と俊が順番に反応する。

「あの人、変」

 二人は眉間に皺を寄せてしまう。

「どこが」

結賀は不思議そうに首をかしげた。

「煙草吸ったら、一人暮らしさせてごめんって」

「よかったんじゃ」

 言いかけた俊の手を掴む。

「なんでお前らみたいに叱ら……っ」

「仁のこと心配してんだよ」

 俺を見て、結賀は教えてくれる。あ、そっか。

 じゃあ昨日の『わかった』も心配で言っただけ。嫌だ、そんなの。

 欲が出てくる。穴にハマったら、抜け出せないのに。なってくれなかったら、俺は。

「仁仁、どうした。顔青い」

 俺の肩に結賀は手を置いてくれる。

「わかんねぇ」

 全部同情だったら、嫌だ。紅成さんの子供になりたい。


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