俺様パイロットに独り占めされました
「ひ、酷い……」


見た目だけはパーフェクトなパイロットを涙声で詰っているのは、私も顔だけ知っているCAだった。
久遠さんと同じ航空会社の、制服姿。
スラッと背が高く、美しく纏めたヘアスタイル。


パイロットとCAが向かい合って話す様は、なんとも絵になる。
だけど、その会話の内容は不穏でえげつない。


「抱く気にならないって……私に魅力がないってことですかっ」


ヒステリックに言い捨てる彼女の前で、久遠さんはこれ見よがしな溜め息をつく。


「男は誰でも、自分に誘惑されたら、コロッと堕ちるとでも思ってるのか。こっちにだって、抱く女を選ぶ権利くらいある」


うわああ……。
どう聞いても修羅場的な内容に、思わずドン引きしてしまう。


CAの方は『弄ばれた』と思ってるけど、久遠さんの言いようだと、そこに『身体の関係』は窺えない。
両者の見識は相違するものの、『誘惑』とか『抱く』って言葉が出てくること自体、なにか濃密で危険な状況にあったであろうことは想像できる――。
逞しい妄想が働き、私はゴクリと喉を鳴らした。


社内でも最上級クラスのエリート機長が、同僚のCAとふしだらで不実な遊びの関係!?
とんでもなくスキャンダラスな香りが漂い、私はその場に縫い止められたように動けない。
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