俺様パイロットに独り占めされました
「すみません。お話を聞く気はなかったんですが、久遠さんを捜していて、聞こえてしまって」

「俺を捜して? なぜ」


訝し気に眉尻を上げる彼の前で、私は一度大きく深呼吸をした。


「先ほどの、札幌行きで。私のミスで、離陸が遅れてしまい、久遠さんがご立腹だと伺ったので」

「当然だろ」

「っ……だから、お叱りを受ける前に自ら謝罪にと。申し訳ありませんでしたっ!!」


こうなったら、先手先手で反省の色を見せるしかない。
私は声を張って、勢いよく頭を下げた。
頭上からは、これ見よがしな溜め息が降ってくる。


「お前、その反省を、次に生かそうって心意気はないのか?」


蔑むような言葉が返ってきて、さすがにグッと詰まる。
私はゆっくり顔を上げてから、「いえ」と微妙に胸を張った。


「心意気は、もちろんあります。でも……」

『久遠さんが怖すぎて。次こそはと思うと、かえって身体に力が入って萎縮してしまう』


さすがに、本音をズバッと口に出す勇気はない。
口ごもったせいで、仕事への誠意を疑ったのか、久遠さんがムッと唇を結んだ。


「まあ、持ち場離れて、こんなとこで人の話立ち聞きしてるくらいだ。日々成長って言葉、肝に銘じておけ」


立ち聞きされた腹いせなのか、いつも以上に辛辣に言ってくれる。
さすがに、私の頭の中で、何本かの忍耐の神経がブチッと切れた。
< 16 / 20 >

この作品をシェア

pagetop