俺様パイロットに独り占めされました
「………」

「来るもの拒まずってヤツ? その気にさせたんだし、十分弄んでるじゃないですか」


鼻息荒く言い募る私に、彼は本気で苛立った顔をして、ハッと浅い息を吐いた。
そして。


「おい。一応、まだ業務時間中だろ。もういいから、さっさと持ち場に戻れ」


都合が悪くて逃げるつもりか、虫でも払うようにひらひらと手を振る。


「久遠さんこそ。フライト後だからって、CAと痴話喧嘩なんて。社内きってのエリート機長のくせに、会社の恥です」


いつも頭ごなしに叱ってくれる、ちょっとした仕返しで、皮肉ったくらいのつもりだった。
だけど、いつも仕事第一の久遠さんにしてみたら、『会社の恥』というワードが刺さったらしい。


彼は私に返す言葉を失い、口を噤んだ。
忌々し気に目を逸らすのを見て、私の勢いも削がれる。


「え、っと……?」


もしかして、言い負かした――?
初めての快挙、やった!……なんて思ったのは、ほんの一瞬。
すぐに、頭からさーっと血の気が引いていく、寒々しさに襲われて凍りつく。


私ったら、調子に乗ってなんてことを……!
大事な仕事で迷惑をかけまくりなのは、自他共に認める周知の事実なのに、なにを偉そうに『会社の恥』だなんて。
次にまたミスした時、十倍返しされるに決まってる……!!
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