俺様パイロットに独り占めされました
「す、すみませ……」


条件反射の謝罪を全部言い切る前に、いきなり腕を掴み上げられた。


「っ、え……」


力任せにグイと引っ張られ、否が応にも前につんのめる。
よろけた私の腰に、彼のもう片方の腕が回された。


え?と大きく見開いた目に、久遠さんの本当に怖いくらい整った顔が、ドアップで映り込む。
そして、次の瞬間。


「……!!」


彼の男らしい薄い唇が、私のそれに重ねられていた。
とっさにひゅっと息をのんだ私に構わず、腰を引き寄せながら、自らも一歩踏み込んで強く押し当ててくる。


「っ……久遠さっ……」


ギョッと目を剥いて、無意識に動かした唇を、音を立てて吸い上げられる。
私は、反射的にビクンと身を震わせた。
薄く開いた唇から、性懲りもなく割って入って来ようとする、熱い舌に気付き、


「~~っ!!」


無我夢中で、彼の胸を両手で押して突き飛ばした。


「いっ……いきなり、なにをするんですかっ……!!」


まだ生々しい感触が残る唇を、手の甲でゴシゴシ擦る。
久遠さんは私の行動を予想していたのか、突き飛ばしたはずなのに、それほどバランスを崩した様子もない。
薄い笑みを浮かべ、腕組みをして、


「フライト後にCAと痴話喧嘩がマズいなら、業務中にキスしてるお前の方こそ、マズいだろ」


どこか妖艶に目を細めて、ニヤリと笑う。
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