オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
ということは、なんだ。
このまま朝まで一緒にいると解釈してオッケー?
突き放すようなことしておいて。ラブホ行かないって言っておいて。
「大地くんのむっつり」
「誤解すんな。お前とどこかに泊まるつもりは微塵もない」
「えっ」
「あるわけないだろ」
「……そう、なの?」
「送り届けてから戻るとなると、点呼に間に合わない可能性もある。それ以外に理由はない」
家まで送ってくれるつもりなんだ。
タクシーに乗せてバイバイって言わないんだ。
「念のために外出でなく外泊の方をとっておいたんだね。門限回避のために」
「そういうこと」
紛らわしいなあ。外泊許可なんて聞いたら朝までコースかと。
「送ってくれなくていいよ。家までタクシー乗れば危なくない」
「お嬢様は電車に乗らないのか」
「え?」
「初めて会った日に身につけてたもの。どれも、けっして安モノではなかった。というよりは大人でも簡単に手が出せない代物だ」