オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 ということは、なんだ。 
 このまま朝まで一緒にいると解釈してオッケー?
 突き放すようなことしておいて。ラブホ行かないって言っておいて。

「大地くんのむっつり」
「誤解すんな。お前とどこかに泊まるつもりは微塵もない」
「えっ」
「あるわけないだろ」
「……そう、なの?」
「送り届けてから戻るとなると、点呼に間に合わない可能性もある。それ以外に理由はない」

 家まで送ってくれるつもりなんだ。
 タクシーに乗せてバイバイって言わないんだ。

「念のために外出でなく外泊の方をとっておいたんだね。門限回避のために」
「そういうこと」

 紛らわしいなあ。外泊許可なんて聞いたら朝までコースかと。

「送ってくれなくていいよ。家までタクシー乗れば危なくない」
「お嬢様は電車に乗らないのか」
「え?」
「初めて会った日に身につけてたもの。どれも、けっして安モノではなかった。というよりは大人でも簡単に手が出せない代物だ」
< 60 / 201 >

この作品をシェア

pagetop