オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 へえ。ブランドの価値、わかるんだ。
 あたしが持ってるものは目立つところにロゴついてないのに。

「移動は車が基本かな」

 あの日あたしが持っていたのは、だいたいがプレゼントされたもの。
 だけど今日は違うよ。
 どれもあたしが自分で選んできた、この日のために。

「それから制服。入学金だけでもバカみたいにかかるお嬢様校だ」
「……だからなに?」

 あたしがお嬢様だったら大地くんになにか都合でも悪い?
 ズレてるって言いたいの?

「俺みたいなのといると心配されるんじゃないか」
「どういう意味?」
「そのまんま」
「大地くんは、あたしが出会ってきたひとの中で。一番安全だよ」

 安全すぎてどうかと思うくらい。

「ほんとろくな男に会ってねーんだな」
「そんなこと……ないし。大地くんが。いい男なだけ」

 い、言っちゃった。

「俺のなにを知ってるんだか」
「これから色々教えてもらうもん」

 今なら、どんなことも素直に言えそうな気がしてきた。
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