イケメン従者とおぶた姫。

ディヴェル王国。

そういえばと、リュウキはカレンダーを見て思った。

そろそろ、数ヶ月に一回の“ファミリーの日”だなと。ファミリーの日とは、王位継承権争いの旅に出ている一行達の家族や恋人など親しい人達と会える日である。

その時ばかりは、仲間とは別行動になり
最初の三日間は家族、残り二日間は婚約者、恋人、親友と楽しく過ごすというサービスだ。

家族がいない人は最初の三日間、恋人や親友が居ない人達は、残りニ日間。家族や恋人、親友のいない人は五日間、ひたすら暇な時間を過ごすだけだが一人が好きな人にとっては嬉しい時間であろう。


何故、そんなサービスの日ができたかって?
それは愚問だ。それは、単にショウに会えなくてリュウキが寂しいからである。

だから、職権濫用でファミリーの日を提案したのだが、会議では思いの外それに賛同する者が多く少し驚いたのを覚えている。

過酷な旅を頑張っている彼らの中には小中学生も多く、残された家族は毎日が不安で堪らないだろう。それに、母国に家族を残して来た者達もどうしているのか心配なはずだ。
それぞれの家族や恋人を考えれば、お互いの精神面や安否確認も含め、定期的に会わせてやった方がいいだろう。と、いう意見が多かったからだ。


そして、ショウ達がディヴェル王国に入国した時にファミリーの日をぶつけた。
だって、せっかく久しぶりに会えるなら親子で楽しく過ごせる所がいいに決まってる。ちょっとした職権濫用である。

しかし、久しぶりに愛娘のショウと会えるとあってリュウキはニマニマが止まらない。

らしくもなく、美容院へ行ったり新しい服を選んでみたりとリュウキはその日を待ち遠しくソワソワし浮かれていた。

そのせいで、城内では王様に春が来たかもしれないと噂が流れる程だった。




さてさて、ダリアの肉体が眠っているこの国からさっさと抜け出したいが為に、サクラ達は珍しくヨウコウ達に話しかけ

早く次の国へ行くぞと交渉して、さっさとこの国を出て行ったのだった。

ヨウコウ達は、何が何だか分からないが交渉という名の圧を掛けられ、サクラとオブシディアンが怖かったのでコクコクと頷き了承したのだった。

だけど、あまりに静か過ぎるこの国に早々に飽きていたのでヨウコウもそろそろ次の国へ行こうと思っていた所なのでいいのだが…

だが、小市民に命令された気分になりイライラしていた。サクラ達が怖いので本人達には何も言えないが。代わりに、裏ではめちゃくちゃに悪口は言ってる。

それを聞かされるゴウランは、もうウンザリである。

ミオは、確かになと思う所もあった。サクラ達は強いからって身分も考えず、王子に向かってあんな態度を取るなんて調子に乗り過ぎではないかと思わなくはなかった。

この旅が終わってから、彼らがどういう処分を下されても仕方ないと感じていた。

旅をしている今だから許されるが、国に戻ってからの事は考えているのだろうか?後先の事など考えてないのではないのかと、少し彼らの事が心配になっていた。

後先の事を考えると、どうしてもヨウコウに強く逆らえなく従ってしまうミオだ。



そして、ついに次の国。

楽しい楽しい、世界最大級の娯楽とエンターテイメントで賑わう国


ーーーディヴェル王国ーーー


入国した瞬間から、もう楽しい!

至るところで、さまざまなショーやカラフルで可愛い屋台やお店、レストラン、お土産売り場。

ちょうど、パレードで大盛り上がりの真っ最中で心が弾む!

街の至るところが、夢のような国であった。

イベントやアトラクション施設もたくさんあって、言わば国全体が遊園地の様なものである。


と、ショウ達がディヴェル王国に入国して間もなくの事だった。
それぞれの携帯に、“ファミリーの日” の説明と日程の連絡が入った。しかも、ファミリーの日は5日後にあるという急な知らせであった。

知らせの中で、【それぞれのチーム全てがディヴェル王国に入国した事もあり…】との文面が載っていたので、どうやらヨウコウ達はこの国に入国した最後のチームだった様だ。

いきなりの日程に、みんな驚き自分達の立てた計画が台無しになってしまうと不服ではあったが、久しぶりに家族に会える事。
恋人、婚約者に会えるとあって、浮かれる者、憂鬱な者それぞれ気持ちは違うが思わぬサプライズで喜ぶ者の方が多かった。

一行は、カラフルで可愛い宿に入り、それぞれの部屋に荷物を置くと

いつもの様に、これからの日程を決める為
一旦ヨウコウの部屋に集まった。


「五日後にファミリーの日がある為、ファミリーの日が終わるまでディヴェル王国から出ないようにと城からの連絡が入った。
ファミリーの日の前までは自由時間としよう。そのあとの事は、ファミリーの日が終わってから考えるとしよう。」

と、ヨウコウは、いつも通り自由時間を強調してきた。まあ、それはいつもの事だし、ヨウコウ達と一緒に居なくていいので、ショウ達にとってはむしろ有り難い話なのだが。

そこまで聞くと、サクラ達はこれ以上用は無いとばかりにさっさと部屋を出て行ってしまった。


「…ハァ〜。サクラとオブシディアンがいると、どうも息が詰まるよな。」

ショウ達が出て行って直ぐに、ゴウランは張り詰めた緊張が一気にとけた様に息をはいた。それは、ゴウランだけではないようでヨウコウやミオ達も一緒だった。

「分かりますぅ〜!あの二人の雰囲気がぁ、すっごく怖くってぇ〜。」

「…確かに、あの二人がいるだけで空気がピリついて気が休まらないわよね。」

と、サクラとオブシディアンについて雰囲気が怖いと愚痴を言っていた。


「そういえば、みんな家族や恋人は来てくれるのか?」

ゴウランは、ファミリーの日について聞いてきた。


「ミミわぁ、パパとママが来てぇ〜。残りの二日はフリーですぅ〜!」

と、いうミミに、あー、ハイハイ。残りの二日間は男漁りね。と、ゴウランとミオは、シラー…としていた。

「俺の所も、両親が来てくれるって言ってたな。」

「私の所も両親と兄、妹が来てくれるわ。」

二人とも恋人やここまで来てくれる様な親友は居ないが、そこまではいう必要もないので言わない。

すると、みんなの話を聞いていたヨウコウは深いため息をつき


「余は、育ての親が来てくれる。…あと、…ハァ〜…。婚約者が来る。」

婚約者の話をした時、かなり嫌そうに言っていた。その様子を見て、ゴウランは(…ああ、あの令嬢な)と、考えていた。

と、言うのも

王子、姫達には、5才〜7才の間に
自分の年より、上は5才年上〜下は5才年下までの令嬢、令息達を集め年に3回程のパーティが開かれる。

そこで、気に入った令嬢、令息がいるかを聞き、気に入った子が入れば何回か引き合わせる。

そこで王子、姫達に気に入られると“婚約者”として選ばれ、令嬢、令息達は、結婚に向け王子、姫達の妻、夫に相応しいよう訓練する事となる。

もし、王子、姫達が7才になっても、気に入る令嬢、令息が居なかった場合は婚約者はつかずフリーとなる訳だが。

なにせ、令嬢、令息は、美形が多いので、王子、姫達は、7才までの間にお気に入りが見つかり好きになっちゃう人が多い。


もちろん、ヨウコウもその一人である。

さっそく、5才の時に自分好みの可愛い女の子がいて気に入ったと言った。何回かデートもしたが、やっぱり可愛いので
“絶対この子にする!この子じゃなきゃ嫌だ!”と、駄々をこね婚約者となった。

だが、別のパーティで別の可愛い女の子を気に入ったが、“もう婚約者がいるのでいけません”と、言われてしまった。駄々をこねても、
“もう決定したから”と、婚約者を変える事ができなかったのだ。

しかし、年を重ねれば重ねるほど、あんなに可愛いかった容姿はどんどん微妙になっていき…
3才年上の婚約者は、今や極々平凡な容姿へとなってしまったのである。

もちろん、彼女と婚約者になって直ぐに飽きてしまったので、何かと理由をつけてそれっきり会った事はない。

その間、自分が気に入った女性とばかり遊んでいた。

だから、今彼女がどうなってるのか何をしているのか知らない。それでも婚約者という事で、年に数回強制的に会わなければならないのだが会う度に劣化していく容姿にヨウコウは嫌気がさしていた。

自分とこんな女が見合う筈ないじゃないか!
小さい頃は可愛かったのに、今はこんなになるなんて詐欺だ!!と、よくゴウランや周りの人達に文句を言っていた。

だが、その子を選んだのはヨウコウだし、好きになった女の子もすぐに飽きて、すぐに別の女の子と遊んでいる。

幼い子に、将来の結婚相手を決めさせるっていう制度もどうかとも思うが、それでも女癖の悪さはどうかと思う。

ヨウコウの為に、懸命に花嫁修行をしている彼女が可哀想である。彼女にその気が無くても、ヨウコウの一声で勝手に結婚相手が決まり、その人の為に尽くせと強要されるのだ。

ゴウランは、何だか複雑な気持ちである。
ヨウコウも可哀想だが、もっと可哀想なのはヨウコウの婚約者だよなと。

勝手に婚約者を決められ、その人の役に立つよう教育される。なのに、相手は浮気三昧で自分を避けている。挙げ句の果てには、不細工で自分には不釣り合いだと悪口を言いふらされる。

散々だよな、と。

現に、今もヨウコウは、自分の婚約者の悪口を言いたい放題言っている。

…酷いなと思う。

けど、その制度はかなり問題があるんじゃ…とも思うが貴族や王族達がうるさくて、その制度を廃止にするのが難しいんだろうなとも思う。

…簡単じゃないよなと、考え込んでしまう問題だ。


他の王子や姫達は、どんな感じなんだろうか?婚約者を大事にしてる人なんて存在するんだろうか?とも考えてしまう。

一方の婚約者達の方は、浮気や異性遊びなんてバレた日には恐ろしい処罰があると聞いた。

実際、処罰された人達もいるらしいが、処罰怖さにそんな事もできず、好きな人がいても胸の内に秘め、婚約者である王子や姫達の為に尽くさなければならないのだ。


ヨウコウが自分の婚約者について散々愚痴った所で、今度はブス繋がりで何か思い出したかのように


「ブスといえば、あのデブタ(ショウ)の両親はどの様な容姿なのだろうな!父親が豚で母親がブスなのだろうか?」

と、ヨウコウがショウの両親について、妄想を膨らませると

「ミミわぁ、デブタのお父さんとお母さんわぁ、両方ともデブタだと思いまぁーす。やっぱりぃ、デブタからはデブタしか生まれないでぇ〜す。」

ミミもその話に乗ってきて、二人で見た事もないショウの両親を勝手に想像してゲラゲラと笑って大盛り上がりしていた。

ミオも、親なんだから似ててもおかしくないだろうと想像しちょっと笑ってしまったけど…
容姿を馬鹿にして笑うのは良くないんじゃないかと不快な気持ちになっていた。

ゴウランは、ちょっと思う所があり…全然笑えなかった。


そんなこんなで、迎えるファミリーの日。

それぞれの家族が待っている指定場所へと向かった。

ショウの両親が見られると楽しみにしていたヨウコウ達は、それぞれ別々の指定場所だった事で見る事が叶わなく非常に残念に思っていた。

大豚が3匹揃う姿は、ざぞ面白かろうと。それが見られないなんて本当に残念だ。と、宿を出発する最後の最後までヨウコウとミミは、その話が途切れる事なく喋り大爆笑していた。

あまりに面白おかしく言うので、ミオもちょっとだけ笑ってしまった。

同じフロア内にいた、ショウ達はその内容に酷く憤りを感じ不愉快極まりなかったので、ヨウコウ達を無視してさっさと指定場所へと向かった。

ゴウランは、…ハッと何か思い立ち


「…あ!ちょっと用事思い出したから先行くな。じゃあ、5日後にまたな!」

と、焦った様に宿を飛び出して行ったのだった。それを見て、呆気にとられながらもヨウコウは


「…一体、どうしたと言うのだ?
最近のゴウランは、やたらと騒々しいな。」

と、苦笑いしていた。


宿を飛び出して行ったゴウランは、こっそり身を隠しながらショウ達の後を着いて行っていた。

気になったのだ。ショウの両親の事が。
ヨウコウ達の様に、見た目がどうのとかそういうのではない。

自分の考えが正しければ、ショウの親はかなりのお偉いさんとみた。

でなければ、サクラやオブシディアンのような実力者がショウに付くわけがない。
ショウは何か秀でるものも無いのに、この大切な旅に選ばれるというのもおかしな話だ。

よくよく思い返してみれば、一般市民は何かに特別に特化している者達の中から選ばれているはずなのにだ。


ゴウランは、知りたかった。自分の考えが正しいのか、それを確かめずにはいられなかったのだ。


しかし、やはりだ。進めば進むほど、超高級リゾートホテルに向かっている。

城からの家族手当で、行き帰りの交通費と小遣いの一部として使うようにと支給金10万ゼニー、そして宿泊する為のリゾートホテルまで用意されている。

リゾートホテルも、格差を無くす為に王子や姫達も一般市民参加者達もみんな、同じレベルのホテルが用意されているはずだ。

様々な理由から、普通クラスに決まっている。

それに不服があれば、事前に城に連絡して自腹でお金を上乗せしてホテルのランクを上げてもいいらしい話も聞いた。

お小遣いもそうだ。支給金で足りなければ、それ以上は自腹で払えば良いとの事。


つまりは、そういう事だ。

ショウの親が、料金を上乗せして超高級リゾートホテルを予約したのだろう。

…それにしたって、ここは…


と、ゴウランはディヴェル王国のパンフレットを見て確認した。


ここは、国のトップや王族、貴族でも公爵(貴族の中で一番地位が高い)レベルの人達しか入れないホテルだ。

商工王国の王子や姫達は、貴族の伯爵(貴族の中で三番目に地位が高い)と同じなので、トップの許可なくしてここには入る事は許されない。

門番もしっかりいて、セキュリティーも厳重にしてある。


確実にショウ達は、そこへ向かって歩いている。


…ドクンドクンドクン


だが、おかしい…

ショウだけでなく、サクラやオブシディアン、シープまで同じ方向へ向かっている。

…確か、親子水入らずで気兼ねなく過ごせるように、鉢合う事がないよう配慮してチームを東西南北バラバラに散らばせていると、城からのファミリーの日についての説明事項に載っていた筈だが…。

進んでも進んでも、誰一人としてチームから外れる事がなかった。


どうなってるんだ?

もしかして、アイツらみんな親がいないのか?

…いや、あのリゾートホテルに向かっているという事は…

…う〜ん…

サクラかオブシディアン…いや、シープか?誰かが、公爵って可能性もあるな。
…いや、でも、なんか…しっくりこないな…。


と、考え込んでいたゴウランの目の前に、いつの間にかオブシディアンが立っていた。


「…う、ウワァッ!!!?」

いきなりの事で、ゴウランはビックリし声を上げ後ろに転んでしまった。


『…ずっと、着けて来てたみたいだけど。
もうすぐ、ショウ様の父親が来るからここまでだ。君も、早く両親の所へ向かわなければ時間に遅れるよ?
今の時間なら、十分に間に合うから戻った方がいい。ショウ様の父親を怒らせたら、ボクでは止める事はできない。従うのみだ。』

オブシディアンの口ぶりからして、ゴウランがつけて来た事は分かっていたらしい。

そして、ショウの父親とは一体何者なんだと恐怖を感じた。それに、オブシディアンの“従うのみ”という言葉から、オブシディアンはショウの父親に仕えてる人なんだろうと読み取れた。


「…ショウの父親って…」

『それは言えない。ただ、あの方が少しでも不愉快に感じたら、君達家族や親族もろとも潰される可能性も否定できない。
だから、君の好奇心はここまで。ここからは、自分や家族を想うなら大人しく引き返した方が得策だ。』

なんて、とてつもなく恐ろしい事を言ってオブシディアンは去って行った。


…ゴクリ…

実は、自分達はとんでもない事に巻き込まれてるんじゃないのか?と、血の気が引いていくゴウランであった。


…ショウ、お前一体何者なんだよ?


と、ゴウランは、オブシディアンの言う事を素直に聞いて急いで自分の指定場所へと向かった。
オブシディアンの言う通り、今からだと指定時間に間に合うからだ。それに、父親は時間に厳しい人なので急いで戻らなければならない。


ゴウランの後ろ姿を見送ると


「ここは、自分達が宿泊する場所と全然違うが…。寄り道をしようと言い出したのは、この為だったんだな。
オブシディアンは、ゴウランに甘すぎないか?」

シープは、大変不服そうにオブシディアンに突っかかっていた。


『確かに、そうかもしれない。だけど、己の過ちに気づき、変わろうと努力する人は嫌いじゃない。』

と、オブシディアンは、ほんの少しだけ柔らかい表情で答えた。その答えにシープは更に機嫌が急降下だ。

オブシディアンとシープが、そんな話をしている中。ショウは、目の前の超高級リゾートホテルにビックリしていた。

門も分厚くて立派で、紋章がギラギラと輝いている。その前には、数人のSPらしき強そうな人達がいる。

そこから見えるのは、お城のような立派な品のいい大きな大きな建物!!

中は見えないが、大きな門の上から見えるホテルの一部だけ見ても凄いっていうのが分かる。


「うわぁ!す…凄いねっ!あんな凄いホテルって、どんな人達が泊まるんだろうね?」

と、ショウは目をキラキラ輝かせながら、超高級リゾートホテルを見ていた。


「あそこには、各国の王族や公爵と世界のトップだけが泊まる事のできる施設らしいですよ。」

サクラは、ショウにも分かりやすく丁寧に説明していた。ショウが、とても楽しそうなのでサクラもロゼもご機嫌さんだ。


「お主様は、このホテルに泊まりたいのかえ?」

「うん!一回でもいいから、こんな凄いとこ泊まってみたい!きっと、世界中の王様やお姫様達もいっぱいいて、凄いんだろうなぁ。」

「我もぉ〜!我もお主様と一緒にお泊まりしたぁ〜いニャ〜ン!」

ロゼは、ピーチクパーチク絶え間なくショウとお喋りしている。よく、そんなに下らなくても話題を作り喋れるものだとサクラは、うるさい奴めと少しイラッとしていた。

サクラは静かな時間が好きなのだ。だから、こんなうるさい奴がいると少し苛ついてしまう。

だが、今はショウが楽しそうにしているので、それを見ていると心が軽くなるし、たまにこっちを向いて笑ってくれるからとても嬉しい。


そんな会話をしながら、自分達の指定場所へと向かって行った。

向かっていくと…あれ?何だか、ちょっぴり騒がしいなぁとショウは、違和感を感じていた。


「…さっきの人、めっちゃカッコ良かったね!」

「あんなにカッコいいからモデルかな?」

「美丈夫で、ちょっと強引そうな所も、また素敵!」

なんて、通り過ぎる女性達が色めきたっている。

なんだろ?有名なモデルさんか俳優さんでもあるのかな?と、ちょっとドキドキしながら、そこへ近づいていくと


「私達、これから食事行くんですけど一緒に行きませんか?」

と、美女二人組に逆ナンパされてる大柄な男性が見えてきた。それを断ると、少ししたらまた別の美女がナンパ…。


ほえぇ〜!どれだけモテるの!?あの人!

しかも、声を掛ける人達みんな美人ばっかり!!

もの凄く、魅力的な人なんだなぁ

と、驚くショウ。自分達には関係ないけど、どんなカッコいい人か見てみたいな!そう思いながら、そこをチラチラと見ていたら


…ん…!!?

あ、あれぇ〜???

なんと、そこには自分の父親が居るではないか!?

しかも、めちゃくちゃナンパされまくっている?…いやいや、自分の父親に限ってそんな、まさかね。きっと、道を聞かれたとかそんな感じかなぁ?なんて、ショウはその事実を受け入れられなかった。

だって…


お父さんだよ?

で、ある。

どうしても、自分の父親は自分だけのお父さんであって、よその人と仲良くお喋りとか、何だか面白くない。…なんか嫌だ。
ちょっとよく分からない理由ではあるが、お父さんは自分だけのお父さんなのだ。

つまり、独占欲!

ショウは、リュウキと仲良さげにお喋り(ナンパ)している美女にムスゥ〜と嫉妬し、ブスくれた顔をしながらドスドスとリュウキに向かって行った。

「…む?お主様、どうしたんじゃ?」

「ショウ様!そんなに急足で歩くと危ないですよ!?」

ショウの異変に、どうしたのかと心配し慌てるロゼとサクラ。

そんな三人の後ろ姿を見ながら、オブシディアンはおやおや…と、少し笑っていた。


『…さて、見送りも済んだ事だし、ボクは別の場所へ移動するけど。シープは、どうする?』

と、聞くオブシディアンにシープは

「一人だとつまらないから、オブシディアンと一緒がいい。」

そう言って、オブシディアンと共に別の場所へと移動した。

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