怪盗ジャック〜月の輝く夜に〜
ジャックはいつも貴族の家に盗みに入る際は、何を盗むかターゲットを決めている。今回盗むのは黄金の卵を産む鶏だ。

「普通の鶏なら鳥舎にいるけど、この鶏だけは屋敷の一室で大切に育てられてる」

鶏がいるのは屋敷の北側にある部屋だ。そこでは何羽もの鶏がいるため、一羽盗んだくらいでは気付かれることはない。

「こんなもので大金稼いでるなんて、やっぱり巨人はずるいや」

ジャックは巨人に対して悪態をつきながら廊下を走る。そして目的の部屋までやって来た。いつもならドアの前に見張りがいるのだが、今日はパーティーが開かれているため全員パーティーホールの警護に当たっている。この時をジャックは狙っていたのだ。

「俺、将来は立派な大泥棒になれるかも」

ジャックは服のポケットから針金を取り出し、鍵穴の中に差し込む。そして慣れた手つきで鍵を開けてしまった。

「お邪魔しま〜す」

鶏にストレスを与えないためか、無駄なほど広々とした部屋には何百羽もの鶏がいた。部屋の中で鶏は自由に動き回っている。
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