君がいたから

「………結愛 」


蓮の険しい顔を見ればこのあと言われることは
だいたい予想できる。

怒られるよね…

発作自分で止めて、その上眠れたと嘘ついたから…


だけどさっきの険しい表情からは
とても信じられないほど優しい顔で私を見る蓮…



「…無理しているよね?」


「大丈夫だよ。 少し頭痛いだけだから 」


副作用もこれから酷くなるかもしれないけど

まだ平気なくらい…


蓮に手を握られる。


「体の方じゃなくて…
自分の気持ち我慢してるでしょ?」


「…してないよ 」

我慢も何も、自分の気持ちわからないし…


「本当に?俺の顔見て言って 」


「そうだよ 」


なぜかチクリと心が痛くなる。

別に嘘ついているわけじゃない…


ただ、いつもなら蓮を見れば

甘えて弱音が出てくるはずなのに

何も思わない自分に違和感を覚える。

感情を言葉に現すと、もうどうでもいい…っていう気分


「あのさ…結愛、お願いだから我慢しないで 」


「……………」


黙っているのに手を離してくれる気配がない蓮。


しばらく握られたままだったけど


PHSが鳴る。



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