君がいたから

「ごめん、急患が入ったから行くな…
またくるから 」

走って病室から出ていってしまった。


1人ビニールの中にとり残されるけど

寂しくない。




暇すぎて、点滴の薬がポタポタ落ちて行くのを見る。

オレンジジュースと同じ色だけど

すごく毒々しい。


この不気味な液体が
私の白血病細胞を殺してくれているとはいえゾーっとする。


嬉しいとか、寂しいって感覚がなくなっても
怖さは感じるんだね。




副作用きませんようにって思いながら
過ごしていると

肌がだんだんカサカサしてくるようになって

痒さを感じる。



前回の抗がん剤の時と同じ症状………

だと思ったけど、前回よりずっと酷くて

10分くらいで顔から足の指の先まで

強烈な痒さに襲われる。


…痒い………痒すぎるよ。
ダメだとわかっていても掻きむしってしまう

だけどそんなことしても治らなくて


掻いた場所からところどころ血がでてきて

痛痒くなる。






< 150 / 220 >

この作品をシェア

pagetop