よせなべ
準備ができたのを察知して、ゲームの電源を切った亮が鍋に向き直る。


「いただきます」


こんな時だけ行儀いいな。

黙々と具を食べる亮を見ながら、俺も箸を手に取った。

うん、我ながら美味い。

適当に味付けしてるだけなのにな、これだから鍋は楽でいい。


味に満足したところで足を崩そうとして、コタツの中で何かにぶつかる。


「おま、足伸ばしすぎ」


コタツの大半を亮の足が占領していて、とてもじゃないがくつろげやしない。

俺は足を伸ばそうと、亮の足を蹴りつけてやる。
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