こじらせ社長のお気に入り
そんな私を見ると、社長は満足げな笑みを浮かべながら、歩くように促してきた。

「ほら、行くよ。タクシーで送ってく」

口調はもう怒っていないようだ。
体に回された社長の腕に力が込められ、一歩一歩、足を進めていく。

「あっ!社長、セクハラですよ!!」

さすがに目立っていたようで、私たちの様子に気が付いた人が、すかさずからかいの声を上げた。

「ははは。違うって。笹川ちゃんが飲み過ぎちゃったみたいで、足元がおぼつかないから、俺が送ってくわ」

「きゃあ!!送り狼だけはダメですよ」

いたたまれなくなる……
顔も上げられず、俯いて歩いていた。


「山城」

酔いと冗談の入り混じる中、副社長が平常運転の口調で声をかけてくる。

「中途半端なことはするなよ」

「わかってる」

なんのやりとりだろう?
2人して、真剣な目をして話している。

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