こじらせ社長のお気に入り
「着いたよ、笹川ちゃん」

「う……ん……」

「ガッツリ寝ちゃってるな」

遠くの方で、社長の声が聞こえる。目を開けなきゃ……
眠気を振り払おうとした時、何か温かいものが、そっと頬に触れるのを感じた。

えっ…………

驚いて目を開ければ、ここはどうやら車の中で……
頬にそっと手を当てて、状況を把握していく。

「おっ、起きた!」

ガバッと体を起こす。

「えっと……今……」

頬に添えた手に力を込める。

「今?笹川ちゃんのマンションに着いたとこだよ。またぐっすり寝てたね。俺のゴッドハンドの威力は、なかなかだろ?」

「ゴッドハンド……?」

私が戸惑っていると、運転手さんが我慢ならないという感じで、小さく吹き出した。

「頭を撫でてあげたら、すぐ寝てたぞ」

「あっ、ご、ごめんなさい。私、また……」

「ああ。いい、いい。それより、部屋まで歩けそうか?」

小さく頭を振って体をシャキッとさせる。頭は随分クリアになっている。大丈夫そうだ。

「はい。行けそうです」

答えながら、自分のバッグに手を伸ばす。心の中は焦りでいっぱいだ。2回も社長に膝枕をさせて、堂々と寝ちゃうなんてどうよ……


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