こじらせ社長のお気に入り
「私に声をかけてくれればいいのにぃ。颯太の秘書なら、私がやってあげたのにぃ」

「何を言ってるんですか。あなたの会社はどうするんですか?」

これ、私もう退室していいですよね……
顔が引きつりそうになるのを堪えて、一礼をしようとすると、鋭い一言が飛んできた。

「秘書なんて、誰だってできるじゃない。会社なんて副社長に預けて、私がやってあげたのにぃ」

だれ……でも……

邪魔な女扱いされるより、威嚇されるより、キツイ一言だった。


たしかに、やろうと思えば誰でもできる業務内容なのかもしれない。しかも、ここは大企業じゃないから、随分砕けているとも思う。
本音を言えば、私だって秘書を任されるなんて思ってもいなかった。

でも、腐らずやってこられたのは、私の小さなプライドと、ずっとダメな自分を変えたいと思って頑張ってきた自信があったからだ。
全力でやりきろうと思えたのは、社長をはじめ、この会社の人達を尊敬しているし、自分もその一員になりたいって思ったからだ。

それなのに……

必死だったここまでの日々を全て否定されたようで、感情がぐちゃぐちゃになってしまう。


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