こじらせ社長のお気に入り
「山川さん。これ以上、笹川に絡まないでください。笹川、社長室に戻って」 

社長は一瞬、私に対して申し訳なさそうな顔を向けてきた。
これ以上、巻き込まれるのはまずい。
挨拶もそこそこに部屋を出て、言われた通り、社長室に逃げ込むように戻った。
そのままそっと隣の様子を窺っていると、声を聞きつけたのか、副社長もやってきたようだ。

「何よ、全部あの秘書が悪いんじゃない。今日はもう帰るわ。
颯太、次に会う時までに、あの女を辞めさせておいてくれることを願うわ」

わ、私が悪いの……?
私、そこまで言われなきゃいけないこと、何かした……?

自分の失態はよくわからないけれど、自分のせいで仕事が一件ダメになってしまうことに、嫌な焦りを感じる。
理由はともかく、山川さんにしたら私のことが気に食わなくて、怒ってるんだし……


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