こじらせ社長のお気に入り
「山川さん、手を引いてくださって結構です。私は、うちの大切な秘書を蔑ろにする相手とは、いい仕事ができるとは思えませんので。
瑞樹、お見送りして」


社長は今、どんな顔をして言っているのだろう。
内心、気の利いたことが言えなかった私を、怒っているのかもしれない。
この仕事がダメになったら、いったいいくらの損失になってしまうのだろう。


言いようのない不安に襲われて、自分の席で小さくなって座っていた。
 



部屋の前を、怒りの伝わる音が通り過ぎていく。
カップを下げに行かなきゃと思うのに、体が動いてくれず、その場にとどまっていた。









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