新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 どう考えても避けられているよな。今朝、なにも言わず家を出たのは俺に会いたくなかったからでは?

 昼休みのときもそう。話があると言ったとき、今思えば微妙な顔をしていた。

 いったい俺はなにをしたんだ?

 頭を抱えていると、一部始終を見ていた陸と彩香が気まずそうに言った。

「ごめん、ジョージ。……なんか涼ちゃん、さっきまでは普通だったのに、ジョージが帰ってきた途端、急に慌て出しちゃって」

「とにかくジョージ、中に入れよ」

 陸は廊下に出てくると、そっと俺の背中に手を添えた。

 促されるままリビングに入り、力なくソファに腰を下ろすと、さっきまで三人で食事をしていたようで、テーブルには食べかけの料理が並んでいる。

 彩香の言う通り、俺が帰ってくるまでは和気あいあいと食事を楽しんでいたのだろう。

「本当に食事中は普通だったよね、涼ちゃん」

「あぁ、変わったところはなかった」

 落ち込む俺を励ますように両隣に座ると、必死にフォローするふたり。

 陸と彩香の気持ちはありがたいが、余計に気落ちする。つまり明らかに俺が来たことによって、川端の様子が変わったということだから。

「昨夜、俺は川端になにをしたんだろう。……なにかしたから、あんな避け方をされたんだよな?」

 俺の問いにふたりは顔を見合わせ、困惑している。
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