新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 正式にジョージさんと私の結婚が発表されても、全員が好意的に受け止めているわけではない。

 とくに重役からは、ジョージさんには会社のためになる結婚を望む声が、今も根強くある。

 だけどなにを言われたって、堂々としていようと決めた。結婚とは、好きな相手とするもの。利益を求めてするものではない。

 それにこうして祝福してくれる井手君のような人が、会社にはたくさんいるから。

 目的の階に着き、開いたドアの先には丈二さんがいた。

「あ、お疲れ様です」

「お疲れ」

 互いにびっくりしながらも挨拶を交わし、すれ違う。

 結婚が決まっても、私たちは会社では上司と部下。必要以上に話をしていない。

「会社でのふたりを見ていると、本当に結婚間近なのかと疑うよ」

「そうかな?」

「あぁ。俺には想像もできないよ。プライベートのふたりが。川端と一緒にいるときの新川部長って、どんな感じなんだ?」

 目を輝かせて聞いてきた井手君には悪いけど、教えてあげられない。

「秘密」

「なんだよ、ケチ」

「ケチでけっこうです」

 だって誰にも知られたくないもの。本当の彼を――。
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